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経済YouTube2025年総決算|データが示す"真の王者"と"隠れた実力者

2025年も残すところわずか。YouTube業界でも栄枯盛衰がさまざまありましたが、経済系YouTubeチャンネルも例外ではありません。

PIVOTの勢いは、2025年2月のピークから大幅に落ち込んでいる

11月には炎上騒動もありました。一方で、NewsPicksが静かに逆転し、TBS CROSS DIG with Bloombergが急成長を続けています。

さらに、登録者数では目立たない楽待が、実は「最も熱心に見られているチャンネル」だったのです。

本記事では、約3年間(2022年12月〜2025年12月)の時系列データを分析し、「登録者数」だけでは見えない経済YouTubeの勢力図の変化を明らかにします。

※データは2025年12月26日時点のSocial Bladeのものを使用しています。登録者数は一部1万単位に丸められたデータを使用しています。

まずはこれまでの登録者数推移/累計視聴数/日次視聴数の3つをまとめてみます。

目次[非表示]

  1. PIVOTの勢いは、2025年2月のピークから大幅に落ち込んでいる
  2. 2025年12月時点の「規模」ランキング
  3. 「勢い」で見ると、景色は一変
    1. 成長率で見ると、さらに景色が変わる
  4. 1日あたり視聴回数で見ると楽待が浮上
  5. PIVOTに何が起きているのか
    1. 相次ぐPR動画の問題
  6. フェーズ分析:今好調なのか不調なのか
    1. フェーズの定義
    2. 各フェーズの詳細
  7. 隠れた実力者:楽待の視聴効率
  8. 1登録者あたりの再生数✕1日の再生数
  9. まとめ

(ちなみに前回楽待を比較対象として入れるべきだと指摘されたので、今回から楽待を追加しています)

2025年12月時点の「規模」ランキング

まずは、登録者数という最もわかりやすい指標で現状を確認してみましょう。

順位

チャンネル名

登録者数

特徴

1位

PIVOT

373万人

経済コンテンツの王者。著名経営者との対談が強み

2位

ホリエモンチャンネル

219万人

堀江貴文氏の個人チャンネル。時事ネタに即応

3位

NewsPicks

204万人

経済メディアのYouTube版。落合陽一氏など独自キャスト

4位

ReHacQ

172万人

高橋弘樹氏が立ち上げた対談チャンネル

5位

楽待チャンネル

139万人

不動産投資情報に特化

6位

新R25編集部

59万人

20〜30代ビジネスパーソン向け

7位

TBS CROSS DIG with Bloomberg

46万人

2024年参入の新興勢力

改めて推移を確認してみましょう。

PIVOTの373万人という数字は圧倒的です。2位のホリエモンチャンネルに150万人以上の差をつけています。

しかし登録者数だけを見ていると、成長性や勢いが全く分かりません。

「今の勢い」を測るにはどうすればよいのでしょうか。


「勢い」で見ると、景色は一変

そこで注目したいのが「月間増加数」——直近1ヶ月で何万人の新規登録者が増えたかを示す数値です。

2025年12月(11月26日→12月26日)の月間増加数ランキングを見てみましょう。

順位

チャンネル名

月間増加数

登録者数順位との差

1位

NewsPicks

+10万人

↑2

2位

PIVOT

+6万人

↓1

3位

TBS CROSS DIG

+5.7万人

↑4

4位

ReHacQ

+2万人

± 0

4位

楽待

+2万人

↑1

6位

新R25

+0.8万人

± 0

7位

ホリエモン

±0万人

↓5

登録者数では圧倒的1位だったPIVOTが、勢いでは2位に転落しています。

代わりに首位に立ったのはNewsPicks。月間+10万人という増加ペースは、PIVOTの約1.7倍です。

さらに注目すべきは、TBS CROSS DIG with Bloombergの躍進。2024年末に参入した新興チャンネルですが、すでにPIVOTに迫る勢いを見せています。地上波との連動企画が功を奏しているようです。

一方、登録者数2位のホリエモンチャンネルは、月間増加数がゼロ。成長が止まっています。


成長率で見ると、さらに景色が変わる

純増数だけでなく、「成長率」で見るとまた違った発見があります。

順位

チャンネル名

純増数

成長率

1位

TBS CROSS DIG

+5.7万人

14.0%

2位

NewsPicks

+10万人

5.2%

3位

PIVOT

+6万人

1.6%

4位

楽待

+2万人

1.5%

5位

新R25

+0.8万人

1.4%

6位

ReHacQ

+2万人

1.2%

7位

ホリエモン

±0万人

0%

※成長率 = 純増数 ÷ 30日前の登録者数 × 100

純増数では3位だったTBS CROSS DIGが、成長率では14.0%で圧倒的1位に躍り出ます。46万人規模のチャンネルが1ヶ月で5.7万人増やすのは、373万人のPIVOTが6万人増やすのとは意味が違います。

TBS CROSS DIGは2024年末に参入したばかりの新興勢力。ショート動画の活用にも積極的です。

このペースが続けば、2026年中に100万人突破も視野に入るでしょう。

英語インタビューに強いということもあり、同番組の躍進は司会進行であり、PIVOT佐々木氏と同じく東洋経済出身の中川雅博氏の功績によるところも大きいでしょう。

炎上からの撮影もかなりのスピード力です。


1日あたり視聴回数で見ると楽待が浮上

次に1日あたりの視聴回数(過去30日移動平均)を見てみます。毎日どれだけ動画が再生されているかを示す数値です。

順位

チャンネル名

1日あたりの視聴回数

1位

楽待

178万回/日

2位

PIVOT

130万回/日

3位

NewsPicks

121万回/日

4位

ReHacQ

55万回/日

5位

ホリエモン

20万回/日

6位

TBS CROSS DIG

18万回/日

7位

新R25

10万回/日

※2025年11月27日〜12月26日の30日間平均

登録者数では5位だった楽待が、1日の視聴回数では1位に躍り出ます。

373万人の登録者を抱えるPIVOTを、139万人の楽待が視聴回数で上回っている——これは驚くべき事実です。

PIVOTに何が起きているのか

さてPIVOTですが、3年間の登録者数増加データを時系列で見ると軌跡がより鮮明になります。

2025年2月、PIVOTは月間で約20万人以上を獲得するペースで成長していました。しかし、そこから10ヶ月で月間+6万人まで減速。かつての勢いの3分の1以下です。

この減速の背景には、いくつかの要因が考えられます。

相次ぐPR動画の問題

2025年11月、PIVOTはSNS上で批判を浴びました。きっかけは、PR動画を制作した企業で相次いで発覚した不祥事です。

オルツ粉飾事件(2025年初頭)
AI企業オルツで売上の9割以上が架空計上されていたことが発覚し、経営陣が逮捕されました。PIVOTは同社のPR動画を視聴者への説明もなく削除したことで一回目の炎上を迎えます。

ニデック不適切会計(2025年11月)
2回目の炎上は永守重信会長が出演していたPR動画が問題視されたものです。監査法人が「意見不表明」という異例の判断を下す事態となり、メディアとしての姿勢が問われることになりました。


批判の焦点は、動画削除そのものではありません。問題なのは、なぜ削除したのか、視聴者にどう説明するのか、という姿勢が見えないことです。

編集者の箕輪厚介氏は、PIVOTについてこう指摘しています。

PIVOTの核は、なんかイケてるというブランドビジネスであり、広告費を稼ぐためにブランド毀損してしまうと、一気にオワコンになる。

※ちなみにリアルバリューも比較対象に入れたかったのですが、リアルバリューはホリエモンチャンネルと三崎優太ちゃんねるでの配信となるため比較対象に入れておりません。


フェーズ分析:今好調なのか不調なのか

チャンネルの「今」を理解するには、ピーク時と比較してどの位置にいるかという視点も重要になります。

各チャンネルの月間増加数を、過去3年間の最高値(ピーク)と比較し、その比率で成長フェーズを分類してみました。

チャンネル

現在の月間増加

ピーク時

ピーク比

フェーズ

NewsPicks

+10万人

+10万人

100%

好調

TBS CROSS DIG

+5.7万人

+7万人

81%

安定

新R25

+0.8万人

+2万人

40%

減速

PIVOT

+6万人

+20万人超

30%以下

減速

楽待

+2万人

+10万人

20%

低迷

ReHacQ

+2万人

+40万人

5%

低迷

ホリエモン

±0万人

+18万人

0%

危機

フェーズの定義

  • 好調(80%以上):過去最高水準を維持。成長の真っただ中
  • 安定(50〜79%):ピークは過ぎたが、健全な成長を維持
  • 減速(20〜49%):成長は続いているが、勢いは明らかに落ちている
  • 低迷(1〜19%):かつての勢いは完全に失われた状態
  • 危機(0%以下):成長停止またはマイナス成長

各フェーズの詳細

好調:NewsPicks
現在がまさにピーク更新中。2024年後半からV字回復を遂げ、2025年12月時点で過去最高の月間増加数を記録しています。

安定:TBS CROSS DIG with Bloomberg
2024年参入の新興ながら、安定した成長を継続。地上波番組との連動が奏功しています。

減速:PIVOT、新R25
PIVOTは先述の通り、急激な減速局面にあります。新R25も差別化に苦戦し、成長が鈍化しています。

低迷:楽待、ReHacQ
ReHacQは2023年の爆発的成長(高橋弘樹氏の独立直後)から、安定フェーズへ移行。楽待はもともとニッチ市場のため、成長の限界点に近づいている可能性があります。

危機:ホリエモンチャンネル
直近1ヶ月で登録者数に変化なし。成長が完全に停止しています。


隠れた実力者:楽待の視聴効率

ここまでいくつかの指標を見てきましたが、もう一つ見逃せない指標があります。

1登録者あたりの1日の視聴回数——1人の登録者が1日何回そのチャンネルを視聴しているかを示す指標です。

この指標で見ると楽待が圧倒的な数値となっています。

順位

チャンネル名

1日あたりの視聴回数

(過去30日移動平均)

1登録者あたりの

1日の視聴回数

1位

楽待

178万回/日

1.28回/日/人

2位

PIVOT

130万回/日

0.35回/日/人

3位

NewsPicks

121万回/日

0.59回/日/人

4位

ReHacQ

55万回/日

0.32回/日/人

5位

ホリエモン

20万回/日

0.09回/日/人

6位

TBS CROSS DIG

18万回/日

0.39回/日/人

7位

新R25

10万回/日

0.18回/日/人

楽待チャンネルの1.28回/日/人という数値は異常値と言っていいでしょう。

これは「登録者の平均で、毎日1回以上動画を見ている」ことを意味します。他のチャンネルが0.3〜0.5回程度であることを考えると、楽待の視聴者がいかに熱心かがわかります。

1登録者あたりの再生数✕1日の再生数

最後に1日の視聴回数と1登録者あたりのチャンネル視聴回数(ファン熱度)をかけ合わせてみると、楽待が最強のゾーンにいることが分かります。


まとめ

  1. PIVOTは登録者数1位だが、勢いでは2位に転落

    • 登録者純増数はNewsPicksの6割
    • 2025年2月のピークから大幅に減速
  2. NewsPicksが静かに逆転

    • 現在がピーク更新中
    • 直近1ヶ月で+10万人の成長を継続
  3. TBS CROSS DIGが新興勢力として台頭

    • 純増数では3位だが、成長率14.0%で圧倒的1位
    • 2024年参入ながら、すでに直近1ヶ月で+5.7万人の成長
    • 地上波連動という独自の強み
  4. 楽待は「隠れた王者」

    • 1登録者あたり1.28回/日は圧倒的
    • 1日あたりの視聴回数では全チャンネル1位

以上、2025年の経済YouTube番組の分析でした。

経済YouTubeの勢力図は1年の間に大きく変化しています。

登録者数だけを見ていては、この変化を見逃してしまうため注意が必要です。

2026年の動向にも注目です。

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