2024年4-6月期 雑誌印刷部数を分析する
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雑誌印刷部数の2024年4-6月期 最新数値が公開されたので、今回も数値動向を見ていきたいと思います。
発行部数の過去の記事は以下から
2024年1-3月期
2023年10-12月期
2023年7-9月期
2023年4-6月期
部数が増えたカテゴリー、減ったカテゴリー
部数が増えたカテゴリー
カテゴリー |
2023年1-3月期 |
2024年1-3月期 |
増減 |
|
---|---|---|---|---|
1位 |
女性ヤングアダルト |
1,055,056 |
1,095,045 |
+39,989 |
2位 |
ゲーム・アニメ情報誌 |
227,649 |
234,412 |
+6,763 |
3位 |
女性シニア誌 |
597,305 |
599,183 |
+1,878 |
2024年4-6期に部数が増えたカテゴリーは、上記3カテゴリーにナチュラルライフ誌を加えた4カテゴリーのみが増加となっています。
最も増えたのは女性ヤングアダルトで39,989部の増加となりました。これはハースト婦人画報社 「ELLE JAPON」と扶桑社 「Numero TOKYO」 の増加が要因と思われます(詳細後述)。
部数が減ったカテゴリー
カテゴリー |
2023年1-3月期 |
2024年1-3月期 |
増減 |
|
---|---|---|---|---|
1位 |
少年向けコミック |
2,523,466 |
2,333,634 |
-189,832 |
2位 |
男性向けコミック誌 |
1,485,087 |
1,296,638 |
-188,449 |
3位 |
その他趣味・専門誌 |
1,839,316 |
1,659,685 |
-179,631 |
部数が減ったカテゴリーでは、前期に引き続き少年向けコミックがワースト1位となっています。
少年向けコミックは部数減少が続いています。
前年比で部数が増えた雑誌
次に2023年4-6月期と比較して、部数が増えた上位20誌を具体的にみてみましょう。
ハースト婦人画報社「ELLE JAPON 」
最も部数を伸ばしたのはELLE JAPONで32,533部(24.7%)増となりました。
これは、2024年7月号増刊 Stray Kids スンミン特別版、2024年8月号 Number_i特別版が要因となっていると考えられます。
特にNumber_i特別版では、Amazonでカラーバージョンが346件、モノクロバージョンが404件(2部出している)もの評価がついています。
3期前に部数を伸ばしたのも平野紫耀さん特別版の影響でした。
扶桑社「Numero TOKYO 」
扶桑社「Numero TOKYO」が 28,000部(45.2%)増の62,000部となり、2位となっています。
なんとNumero TOKYOもNumber_i特集でした。
AmazonのNumero TOKYO 2024年 7・8月号特装版【Number_i 表紙バージョン】 では、1,160件の口コミが投稿されており、この2024年4-6期の雑誌売上にNumber_iが大きく影響していることが分かります。
近年雑誌が急激に売れる場合、このようなアイドルやアーティストなどの特集号が組まれているケースと、ピカチュウ等の何かしらのコラボ特集などの2種類に分かれるようです。
潮出版社「pumpkin」
増加数3位には潮出版の「pumpkin」が20,700部(11.3%)増の184,000部となっています。
要因は不明でしたが、4/19売り 5月号だけ口コミ数が184件とこれだけ高く、口コミ内容も少し違和感のあることから、何かしら購入のお達しがあったのではないかと推測されます。
少年サンデー超(スーパー)
最も増加率の高かったのは64.2%増(31,667部)の、小学館の少年向けコミック誌「少年サンデー超(スーパー) 」でした。
グラフで見ると定期的にスパークしていることが分かります。
名探偵コナンとのコラボでも有名で、Wikiには以下のように記載されています。
2016年頃から『名探偵コナン』関連の特集や全員サービスをほぼ毎号定期的に行うなど、『名探偵コナン』の色が強く出た雑誌に変化し、売り切れることも増え始めた。2018年になると、『名探偵コナン』のキャラクターの一人、安室透の人気により、発行部数が急激に上がるようになった。また、WEBでの同時連載作品が再び増え始めた。
2019年1月号より再びリニューアル。雑誌名のロゴが変更され、ページ数が減少したが、新人作家の読切が複数掲載された別冊付録『サンデーmini』が毎号つくようになった。
2024年4-6月期の要因は、新作映画の公開とそれに合わせたプロモーションが影響しているようです。
4/25売り号では名探偵コナンの婚姻届けが付録としてついています。
前年比で部数が減った雑誌
続いて部数が減った雑誌です。
集英社「Myojo」
コロナ禍で息を吹き返したかのように見えた女性ティーンズ(アイドル)誌のMyojoですが、85,000部減の156,667部となり、ここにきてコロナ前よりも悪化してしまったようです。
このグラフを見ると、コロナ前後でMyojoに代表されるようなアイドル推し活行動が大きく変化していることが推測されます。
検索データを調べるとmyojoを検索するユーザーは10代が最も多いようで、以下のように3分の1が10代となっています。
2019年からの検索数推移を見てみると、部数と連動するように検索ボリュームも落ちてきています。
集英社「週刊少年ジャンプ 」
毎回ワースト上位に上がる「週刊少年ジャンプ」は、前年同月の1,176,667部から83,334部減少(-7.6%)し1,093,333部でした。
今のペースが続くと、来年2025年1-3月期に100万部割れが予想されます。
週刊少年ジャンプを検索データでみると、7割が男性であり、ボリュームゾーンは40代(28%)と30代(27%)のようです。
集英社「non・no」
女性ヤング誌のnon-noも減少が止まりません。
女性ヤング誌の中では、JUNON(アイドル誌ですが)が少し回復傾向にあります。ここでもやはり紙からデジタルへ、ファッションから推し活へと行動が変化していることが推測されます。
出版社別分析
最後に出版社別に見てみます。
部数を増やした出版社
出版社 |
2023年4-6月期 |
2024年4-6月期 |
増減 |
|
---|---|---|---|---|
1位 |
ハースト婦人画報社 |
247907 |
272670 |
24763 |
2位 |
潮出版社 |
246033 |
261567 |
15534 |
3位 |
ハルメク |
478667 |
489333 |
10666 |
前述のELLE JAPAONの影響でトップにきています。
部数を減らした出版社
出版社 |
2023年4-6月期 |
2024年4-6月期 |
増減 |
|
---|---|---|---|---|
1位 |
集英社 |
3326466 |
3005632 |
▲320834 |
2位 |
講談社 |
2241774 |
1978311 |
▲263463 |
3位 |
新潮社 |
527547 |
434852 |
▲92695 |
Myojoや週刊少年ジャンプの部数減少が影響し、集英社がワースト1位に上がっています。
以上、2024年4-6月期の雑誌印刷部数分析でした。
なおこれら数値にはdマガジンの数値等は含まれておらず、雑誌全体ではなく紙雑誌のみの数値となりますのでご留意ください。