2023年7-9月期 雑誌印刷部数を分析してみる
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雑誌印刷部数の2023年7-9月期 最新数値が公開されたので、数値動向を見ていきたいと思います。
発行部数の過去の記事は以下から
部数が増えたカテゴリー、減ったカテゴリー
前年同月比として、伸びたカテゴリーと減少したカテゴリーを抽出してみます。
部数が増えたカテゴリー
- 1位:女性ヤングアダルト誌: 平均増加数 2,643.21部
- 2位:旅行・レジャー誌: 平均増加数 280部
残念ながら2カテゴリー以外はマイナスとなり、増加の転じたカテゴリーは2カテゴリーのみとなりました。
部数が減ったカテゴリー
- 1位:生活実用情報誌: 平均減少数 -23,304.36部
- 2位:少年向けコミック誌: 平均減少数 -20,625.60部
- 3位:女性ティーンズ誌: 平均減少数 -18,986.40部
減少した雑誌カテゴリは「生活実用情報誌」「少年向けコミック誌」「女性ティーンズ誌」となりました。
前年比で部数が増えた雑誌
続いて、前年同月比で部数を伸ばした雑誌、減った雑誌を見ていきたいと思います。
ELLE JAPON
前年同期比で最も部数が伸びたのは、ファッション誌の「ELLE JAPON」でした。2022年7-9期が
64,503部のところ、2023年は60%増の163,767部となっています。
グラフで見ても一見バグったような上昇の仕方です。何があったのでしょうか。
平野紫耀さん特別版で急上昇
9月売り2023年11月「平野紫耀さん特別版」の影響により、部数が急上昇しているようです。Amazonの口コミも通常は20~30件のところ、1,360件もの口コミが付いており部数への影響力が大きかったことが想定されます。
2023年4-6期も上昇しており、こちらはBTS V特集号となっており、外部人気に肖った部数上昇と見て取れます。
週刊TVガイド
部数が底を打ち、若干上昇傾向にあるテレビ情報誌ですが、週刊TVガイドが前年同月比22.2%増の110,946部となっています。
毎年年末発売号で上昇するテレビ情報誌ですが、今年はジャニーズ問題などが影響し、年末の紅白等がどのように影響するかが注目です。
MAQUIA
部数が回復傾向の美容誌ですが、MAQUIAは前年同期比12.4%増の93,000部となっています。
9月売り11月号では44ページに渡る田中みな実さん大特集が組まれており、コスメデコルテの付録なども合わせて売れ行きが伸びたようです。
ここ1年でVoCe/MAQUIA/美的共に、田中みな実さん効果が部数に大きく影響しているようです。
AERA
年々減少が続いていたAERAは、2022年10-12月期に初めて上昇に転じ、2023年の数値がV字回復の鍵となっていました。
2023年7-9月期は、前年同期比6.2%増の58,083部と、回復の兆しが少し見えてきたようにも見えます。
ちなみに雑誌は、表紙のタレントが部数売上に直結するようです。現にAERAは編集長自ら、表紙起用のためのジャニーズ事務所への忖度があったことを誌面で公開しています。
しかし、今度はBTSで売れてしまうのも現状のようで、2023年1-3月期の部数急上昇を大きく牽引したであろう、3月売り「BTS JIMIN」単独インタビュー特集は、通常30件程度のAmazon口コミが1,700件以上となり、部数に大きく影響していることが想定されます。
前年度比で部数が減った雑誌
続いて前年同期比で部数が減った雑誌を見ていきます。
週刊少年ジャンプ
週刊少年ジャンプは部数が大きいだけに、ランキングにすると毎回減少1位に上がってきてしまいますが、2023年7-9月期は前年同期比で1割以上減少し、約116万部となっています。
サンキュ!
サンキュ!も減少が止まらず、前年同期比-37%減の159,267部となりました。
Mart
同じ生活実用情報誌のMartも69.5%減の60,000部と減少が続いています。
ESSE
同カテゴリESSEも減少中で、前年同期比26%減の181,333部と減少が続いています。
ハルメクは初の前年同期比減
シニア情報誌のハルメクは、これまで前年同期比と比べて部数増加を続けてきましたが、ここにきて前年同期比として初の部数減となりました。
部数は455,333部で-48,000部10.5%減となっています。いかに部数を維持するか、デジタルで伸ばすかという新たな局面に入ったのかもしれません。
株価は低迷が続いているようです。
美容・コスメ誌動向
最後に乱高下が続く美容・コスメ誌の動向を見てみたいと思います。
ここ数ヶ月落ちていた「美的」が最多の105,000部となり、「VoCE 」96,667部、 「MAQUIA」93,000部を再び抜かしました。
「美的」は8月売りで付録違い版、9月売りで増刊を出しており部数を牽引していると思われます。
前述の部数増加メディアで記載したように、「MAQUIA」も9月売りで表紙に田中みな実さんを起用。
各社、田中みな実か付録か増刊という手法を用いて部数アップを試みているように思われます。
2023年7-9月期のまとめ
- 部数を伸ばしていたハルメクがついに減少
-
アイドル/タレント/BTSで部数増加
- 付録/増刊/みな実戦争の美容コスメ誌の動向に継続注目
- ジャニーズ無き年末のテレビ誌動向にも注目
以上、2023年7-9月期の雑誌印刷部数の数値動向でした。
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また、今回使用した雑誌印刷部数はこちらのダッシュボードやこちらのダッシュボードにまとめていますので、ご自由にお使いください。