【ChatGPT×広報】2023年4-6月期 雑誌印刷部数をChatGPTで分析してみる
目次[非表示]
雑誌印刷部数の2023年4-6月期 最新数値が公開されたので、数値動向を見ていきたいと思います。今回はChatGPTのオプション機能であるデータ分析ツール「Advanced Data Analysis」を使いながら、分析してみたいと思います。
発行部数の過去の記事は以下から
ChatGPT Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter) とは
呼び名がちょくちょく変わるので大変ですが、Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter) は、ChatGPT上でアップロードしたデータなどを、そのまままるごとPythonを使ってデータ分析してくれる、ChatGPT Plusのオプション機能です。
データの前処理やグラフ化などを全て自動で行ってくれるほか、出力された集計データを解釈までしてくれるため、従来データサイエンティストやアナリストといった専門家がPythonなどでコツコツ行っていたEDA(探索的データ分析 )と、そこから得られる示唆のまとめを、ほぼ自動で行うことができます。
プロンプトとChatGPTからの応答
今回はWEBで一般公開されている最新の雑誌印刷部数データをローデータとしてまとめ、そのままChatGPTにアップロードし、まずは具体的には何も指定せずに「あなたは有能なデータサイエンティストです。このデータは四半期に一度公表される雑誌の印刷部数履歴データです。 このデータをEDAしてください。」とだけ入れてみます。
※Advanced Data Analysis のグラフはまだ日本語ラベル対応していないため、前処理として媒体名や出版社をGOOGLETRANSLATE関数にて全て英語翻訳してから使用しています。また、4-6月期表記を便宜上4月表記に統一しています。
以下ChatGPTのレスポンスです。
まず、印刷部数の時間経過に伴う変化を見てみましょう。
2008年から2018年までの間に、印刷部数の合計は徐々に減少しています。
一部の年で印刷部数が急激に増減している時期もあります。
次に、出版社ごとの印刷部数の合計を確認します。
いくつかの出版社が非常に高い印刷部数を持っており、市場の主要なプレイヤーであることがわかります。
それに対して、多くの出版社は比較的少ない印刷部数を持っています。
次に、カテゴリーごとの印刷部数の分布を確認します。
「Comic magazine for boys(少年向けコミック誌のこと)」カテゴリは他のカテゴリよりも印刷部数が非常に高いことがわかります。
一部のカテゴリでは、印刷部数のバリエーションや外れ値が多いことが確認できます。
次に、出版社ごとの合計印刷部数を確認してみましょう。
上位10社の出版社による印刷部数の合計から以下の点を確認できます: 「Shinkansha(集英社の誤訳)」と「Kodansha(講談社)」は、最も多くの印刷部数を持っている出版社であることがわかります。 上位の出版社は大きな違いがある一方で、他の出版社は印刷部数が近い値を持っています。
いきなり初手からこのように具体的な分析を示してくれました。箱ひげ図やグループ化はエクセルではなかなかハードルも高いですが、勝手にグラフを選んでくれ描写までしてくれ、ポイントをまとめてくれるのがとても良いです。
部数が増えたカテゴリー、減ったカテゴリー
前年同月比として、伸びたカテゴリーと減少したカテゴリーを抽出してみます。
プロンプト:「2022年4月と2023年4月に存在するすべての媒体名の共通データを取得し、増減とその割合を算出したあとに、カテゴリ別に集計しその平均値を一覧表でそれぞれ3つずつ出力してください 」
前年同期比で平均して増加したカテゴリは、「ビューティ・コスメ誌 」「女性シニア誌 」「テレビ情報誌 」となりました。
一方で減少した雑誌カテゴリは「少年向けコミック誌 」「食・グルメ情報誌 」「男性向けコミック誌 」となりました。
こちらも念のため計算してみたところ合っていました。
前年比で部数が増えた雑誌
続いて、前年同月比で部数を伸ばした雑誌、減った雑誌を見ていきたいと思います。
プロンプト指示として「最新の2023年4月のデータと2022年4月のデータを抽出し、部数が伸びた数や割合が最も大きい媒体と最も減った媒体を20メディアずつ抽出してください。」と入れてみます。
はたして計算は合っているのでしょうか。念のため人力で算出した結果が以下です。
合っているようです。
続いて部数データをラインチャートで出力し、動きが気になる媒体をピックアップします。
VoCE
媒体名を指定すれば、個別のラインチャートを出力することができました。
付録がヒットしているVoCEは、田中みな実さんの「みな実リップ」 が大当たりしたこともあったせいか、 3期前より急上昇傾向にあります。
前年同期比で比べるとちょうどタイミングで重なったことで、+44,000部(約6割増)という結果となりました。
雑誌不況の中、これまでハルメクしか目立つメディアがなかった中で、このグラフを見るとVoCEも勝ち組メディアと呼べるのかもしれません。
プレスリリースより
月刊ザテレビジョン
テレビ誌の「週刊ザ・テレビジョン」は2023年3月売号で週刊誌が休刊し、「月刊ザ・テレビジョン」にブランド統合されています。
その読者の流れも影響してか、35,667部(17.4%)増加となっています。ただ、週刊ザ・テレビジョンが13万部弱ほどあったため、もう少し伸びてほしかったところかもしれません。
MAQUIA
コロナ禍で減少傾向にあったコスメ誌「MAQUIA 」ですが、2023年4-6月期でV字回復傾向にあることが分かります。
この時期は2023年上半期ベストコスト特集などが重なっていますが、Maquiaはこうした特集&コスメ付録などに合わせて、男性アイドルを表紙に起用した「増刊」を発行しています。
2023年8月号増刊(2023年6月売)では、Sexy Zone・中島健人さんが表紙となっており、こうしたものも上昇要因になっていると想定されます。
Number Plus
スポーツ誌の「Number Plus」が、前年同期比2倍と最も多く伸ばしています。
前期はたまたまかデータが欠損していますが、今回の上昇の要因は2023年5月10日売の「侍ジャパン特集」が起因しているのではと考えられます。
底を打った?テレビ情報誌
珍しい動きとしては、これまで減少傾向が続いていたテレビ誌が、前年同期比増加した媒体の上位に上がってきていることです。
ランキング上位に上がっているTV LifeとTV stationを出力すると下記のようになります。
なおテレビ情報誌は年末需要のせいか10-12月期に部数が上がるため、このようなジグザグなラインチャートとなります。
なお2誌以外のテレビ情報誌全てを見ても、以下のような底打ち傾向が見て取れます。
テレビ情報誌一覧
テレビ情報誌は人口推移に基づき、今後は比較的安定した動きとなるのではないでしょうか。
ちなみにこれまで部数の多かった「ザテレビジョン」を検索しているユーザーを調べてみると、40代以降の女性が多いことが分かり、関連してジャニーズ系のワードを調べる傾向が高いことも分かりました。
前年度比で部数が減った雑誌
続いて前年同期比で部数が減った雑誌を見ていきます。
こちらも念のためエクセルで答え合わせしておきます。
こちらも問題ないようです。それぞれ個別に見ていきます。
週刊少年ジャンプ
週刊少年ジャンプは年々部数が減少していましたが、ここに来て減少率がかなり大きくなっていることが分かります。
なお、少年向けコミック誌や男性向けコミック誌は全体として減少が続いています。
少年向けコミック誌(全誌)
男性向けコミック誌(全誌)
その他、いくつかチャートの動きが気になる雑誌をみていきます。
サンキュ
美的
Oggi
美容誌戦国時代
これまで美容誌は印刷部数だけで見ると「美的」が首位をキープしていましたが、付録やコラボ開発などで「Voce」と逆転現象が起こっているようです。そして最新号では月刊田中みな実の様相を呈している「MAQUIA」も追い上げており、現時点の2023年7-9月期の部数が気になるところです。
2023年4-6期のまとめ
- 一部雑誌の部数は付録や男性アイドルに大きく左右される(増刊号テクニック?)
- テレビ情報誌の減少が底を打った模様
- 美容コスメ誌が戦国時代を迎えている
以上、ChatGPTのAdvanced Data Analysis(旧:Code Interpreter) を利用した部数分析でした。
これまではcsvデータでまとめてlookerstudioやTableauなどで可視化しながら確認していたものが、ChatGPTによる対話型EDAで短時間で分析することが可能となりました。
その他、ChatGPTでプレスリリースを作成する方法などはこちらの記事をご覧ください。
また、今回使用した雑誌印刷部数はこちらのダッシュボードやこちらのダッシュボードにまとめていますので、ご自由にお使いください。