検索ボリュームから世の中のブームについて考える
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今回は検索ボリュームを測ることでブームを可視化し、特長や共通点を探ってみたいと思います。
グーグルでは毎年検索ランキングを発表しており、2021年は下記のようなランキングとなっています。
今回はこれらのキーワードをいくつか参照しながら、検索ボリュームの推移がどのように推移しているのか見ていきたいと思います。
ブームは本物と偽物2種類!?
ブームには一過性のものと、生活にまで組み入れられるような本物のブームと大きく2種類に分けられるのではないでしょうか。
前者は「マリトッツォ」などに代表されるもので、後者は「オートミール」のように市場をしっかりと形成し、一定の文化として根付くようなものです。
この2つのブームの違いをデータから見分けることはできないでしょうか。
まず検索ボリュームはデイリーのデータを30~60日の移動平均などで見ていくのが良さそうです。以下に2021年から今年にかけて、いくつかの代表的な検索ワードをプロットしてみます。
このようにしてみると、マスクやマリトッツォなどが正規分布のような左右均等の釣鐘型をしているワードがある一方で、オートミールや呪術廻戦など歪な形になっていることが分かります。
ブームは上りより「下り」が重要
検索ボリュームの動きを特定の関数として見るのであれば、傾きを微分できればピークのタイミングや、ブームの動きを読み取ることができそうです。
今回はエクセルのSLOPE関数を使い、前日と当日の2点間を回帰直線で結び、その傾きを移動平均として見てみたいと思います。
検索ボリューム推移3パターン
1.「マリトッツォ」「マスク」
一気に人気となり、上がったタイミングと同じペースで下がっていくパターンです。左右対称の正規分布的なグラフになるようです。
2.「呪術廻戦」「大谷翔平」「東京リベンジャーズ」
上昇した後で再度、上昇の波が来るパターンです。後半でキャズムを超えたり、誰かキーパーソンが火を付けたような動きと捉えることができるかもしれません。
3.「オートミール」「ウマ娘」
最後にオートミール型です。こちらがブームを文化に移行するための理想的な動きモデルとしても参考になる動きであり、上昇した後になかなか下がりづらいという傾向があるようです。
左右対称となるマリトッツォ型とは異なり、全体傾向が上がりつつ形が凸凹しながら推移します。
一過性のブームは綺麗なシグモイド曲線を描く!?
検索ボリュームを累計数で見てみると、波形がよりわかりやすくなるかもしれません。単純な累計だと特徴が見えづらいので、0~1に標準化して見ていきたいと思います。
こちらはマスクやマリトッツォの検索ボリュームを0~1に標準化させたグラフです。綺麗なシグモイド曲線を描いています。
(参考)シグモイド曲線
真のブームはいびつな曲線になる
こちらは同様にオートミールなどを0~1に標準化したグラフです。途中にぐらつくタイミングなどがあり、あまり綺麗な曲線になっていないのが特徴です。
検索ボリュームはSNS投稿数とも高い相関
ここまで検索ボリューム推移を見てきましたが、Twitterの投稿数も検索ボリュームと相関が高く、オートミールの場合だとデイリーからの7日移動平均で見ると、相関係数0.852という非常に高い相関があることも分かりました。
【まとめ】ブームを文化にするために
SLOPE関数のグラフをまとめると以下のような形になります。
ここまでグラフでみてきましたが、一過性のブームにさせず真のブームとさせるポイントは下記2点かと思われます。
- 累積検索ボリュームをロジスティック曲線にさせない
- SLOPE関数の傾きを左右対称にせず第2第3の波を作る
以上、検索データの解説でした。オートミールは以下のブログでも解説したように、最初はテレビの露出がきっかけでした。やがて真のブームに乗ってしまうと、もはやコントロール不可能とも言える不思議な動きとなっており、このあたりも分析すると面白いのではないでしょうか。
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