2022年1-3月期 雑誌印刷部数を可視化する
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雑誌印刷部数の2022年1-3月期 最新数値が公開されたので、今回も数値動向を見てみたいと思います。
過去の記事は以下から
部数が増えた雑誌
まず前年同月比で部数が増えた雑誌を見ていきます。
最も部数を伸ばした雑誌は光文社の「Mart」となりました。Martは今年3月から季刊誌に変更し、3月に発売した春号の数値が大きく影響を与えたのかもしれません。
部数が減った雑誌
続いて部数が減った雑誌を見ていきます。
最も減少率が大きかったのは講談社「別冊少年マガジン」で-173%と半分以下の部数となっています。
その他、子供向け雑誌も苦戦が続いているようです。
休刊となった雑誌
メンズファッション誌の「SENSE」が6月を持って休刊となります。
また、講談社の女性向けファッション誌「With」も3月発売号を持って事実上の休刊となりました。
ハルメク更に続伸
ハルメクが部数を堅調に伸ばしていることは以前から記載していましたが、2022年1-3月期は44万部と前年同月比14%増と大きく伸ばした結果となっています。
ハルメクのパブリシティ戦略が凄かった
ハルメクが2022年1-3月期に部数を大幅に伸ばした要因はなんだったのでしょうか。検索数から紐解いてみたいと思います。
過去3年の検索数を見ると3つのピークがあることがわかります。このピークはテレビ露出とタイミングが一致し、下記の番組への露出であったことが分かりました。
2019年7月「人生が変わる1分間の深イイ話」
2022年1月「プロフェッショナル 仕事の流儀」
2022年5月「日曜日の初耳学」
これらの露出タイミングと合わせて部数が伸びていることも分かります。
以上のことから部数を伸ばす戦略として、かなり意図的にテレビに露出しているだろうことが想定されます。
文脈としても『部数減少が続く雑誌業界で、成果を上げる意外な雑誌の秘訣とは?』というまさにテレビ向けのわかりやすいストーリー設定であることも重要ポイントでしょう。
(ストーリーの答えが「常識を疑い消費者の声を反映させたから」という、実直である意味心地よい答えもポイントの一つでしょう。これが「最新のAIで人の心を掴み、ロボットが自動配送」などでは視聴者受けも良くないわけです)
定性調査もポイントか
ハルメクの成功事例でよく出てくるポイントが定性データの活用です。読者からのはがきの自由回答文からペルソナを設定しているエピソードは良く取り上げられます。
従来は面白かった記事や今後読みたい記事といったものを選択肢として挙げ、定量的に把握し記事に反映するパターンが多かったのではないでしょうか。ハルメクの場合は、自由回答文を書いてもらいやすい女性シニアを読者にしているということもあり、この自由回答文による定性データが多く集められたという点もポイントして挙げられるかと思います。
誰がテレビを見て検索しているのか
次にプロフェッショナル仕事の流儀と日曜日の初耳学が放映された日の、ハルメクの検索データを年代別に探ってみます。
50代以降の女性にテレビは有効
こうしたデータを見ていくと半数以上を占めるのが「50代以降の女性」ということが分かります。
YoutubeやTikTokなどメディア形態が大きく変動している中で、50代以降の女性にはまだまだテレビの影響力が大きいことが見て取れます。
2022年5月の「日曜日の初耳学」の影響で、2022年4-6期の雑誌印刷部数にどのような影響が出るのか要チェックです。
dマガジンの影響は!?
SPA!では2022年1-3月期の印刷部数は68,820部ということですが、dマガジンではMUU(マンスリーユニークユーザー)215,839人という数値が出ているようで、dマガジンの数値が大きく上回っている雑誌もあるようです。
一方で光文社の女性自身は印刷部数が281,280部の一方で、dマガジンのMUUは91,039人と1/3ほどの数値となっています。
このあたりは読者層や読まれる環境下で大きな違いが見られるのかもしれません。
以上、2022年1-3月期雑誌印刷部数の解説でした。
人口動態は今のところ大きくは変わらず未来予測も容易です。このボリュームゾーンである現シニア層(1949年生まれ)と将来のシニア層(1974年生まれ)をどのように捕まえるかがメディア生き残りの鍵となるかもしれません。
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