Gaaaon
PR.ready_
LLMO対策、効いたか答えられますか|先に整える3つの計測基盤
AI/Tech

LLMO対策、効いたか答えられますか|先に整える3つの計測基盤

LLMO対策の効果は、行動記録を貯め始めた日からしか検証できません。GA4のBigQueryエクスポート・Cloudflare・フォームへのclient_id記録という3つの計測基盤を、当社の実測データと失敗談から解説します。

SHARE

主なポイント

LLMO対策の効果検証には訪問者とAIボットの行動記録が必要ですが、記録は設定した日からしか貯まらず、過去には遡れません。 ・GA4のユーザー単位データは最長14ヶ月で自動削除されるため、BigQueryエクスポートで生データを無期限保存する(無料枠あり) ・AIボットの来訪はGA4に映らないため、Cloudflareで名前ごとに記録する(無料プランは保持が短いため定期保存とセットで) ・問い合わせと行動履歴はフォームにclient_idを記録して接続する いずれも低コストで、今日設定した分だけ将来の検証材料になります。

2024年の年末、当社サイトの問い合わせフォームから、ある大手企業の広報部門の方から相談が届きました。本文には、当社が公開していた生成AI活用の解説記事を読んだ、と書かれていました。記事が新しい仕事を連れてくる。広報にとって教科書のような出来事です。

では、その方はいつ当社を知り、どの記事から入って、何本読んで問い合わせを決めたのか。

答えは「誰にも分からない」です。今後も、永遠に分かりません。

当時の当社は、アクセス解析の生データを保存する設定(後述するBigQueryエクスポート)を入れていませんでした。GA4(Googleアナリティクス)自体はずっと動いていたのに、です。GA4が持つユーザー単位の詳細データには保持期限があり、設定上の最長でも14ヶ月で自動削除されます(Google公式ヘルプ「データの保持」)。検証しようと思い立ったときには、見たい期間の記録がこの世に存在しませんでした。

この記事は、同じ後悔をする会社を減らすための処方箋です。LLMO対策(生成AIの回答に自社を載せるための最適化)の施策そのものではなく、施策が効いたかを後から検証できる状態を今日つくる、という一段手前の話をします。

なぜ「対策」は語られて「計測」は語られないのか

LLMO対策の解説記事には、robots.txtの設定、llms.txtの設置、構造化データ、コンテンツの書き方といった施策が並びます。当社も先日、AIボットの種類ごとに施策を整理した記事を公開しました。

一方で、「その施策が効いたかを、何のデータで確かめるか」を扱う記事は多くありません。営業提案でも、施策リストは出てきても計測基盤の話はまず出てきません。

語られない理由は、成果が出るまでの時間差にあると当社は見ています。AI対策の成果は「AIの回答に引用される→読んだ人が社内で検討する→数週間から数ヶ月後に問い合わせる」という長い経路で現れます。検証したくなるのは成果が出た後ですが、そのとき必要なのは過去の記録です。

防犯カメラと同じ構造です。事件が起きてから設置しても、昨日の映像は撮れません。計測基盤の価値が生まれるのは未来のある日で、設置できるのは今日だけです。

処方箋①:GA4の生データをBigQueryに逃がす

1つ目の処方箋は、GA4のデータをBigQuery(Googleのデータ倉庫サービス)へ毎日コピーする公式連携、BigQueryエクスポートの有効化です。

GA4を入れているだけでは足りない理由が2つあります。

1つ目は、先ほど触れた保持期限です。GA4のユーザー単位・イベント単位のデータは、設定により2ヶ月または14ヶ月で自動削除されます。ダッシュボードの集計値(月間PVなど)は残りますが、「この訪問者が、いつ、どのページを、どの順で読んだか」という粒度の記録は消えます。問い合わせの経路検証に必要なのは、この消えるほうのデータです。

2つ目は、分析の自由度です。管理画面の標準機能では、特定の訪問者の行動を横断的に復元する操作に強い制約があります。生データが手元にあれば、後から任意の切り口で検証できます。

BigQueryエクスポートは、GA4の管理画面から10分程度で設定できます。標準プロパティでは日次エクスポート自体に料金はかかりません。保存先のBigQueryにも無料枠(ストレージ10GB・クエリ処理月1TB)があり、中小規模のサイトならまず枠内に収まります(Google Cloud公式「BigQueryの料金」)。

当社の実測を1つ示します。当社がこの設定を有効にしたのは2025年8月25日で、BigQueryに残っている最も古い記録もその日付です。設定前の記録は1行もありません。2024年末の問い合わせを検証できない直接の原因が、この空白です。

記録は、設定した日からしか始まらない。

処方箋②:Cloudflareを玄関に置き、AIボットの来訪を記録する

GA4にはもう1つ盲点があります。AIボットのアクセスが、ほぼ映りません。

GA4はページ内のJavaScript(ブラウザ上で動く計測プログラム)で訪問を測ります。AIボットの多くはこれを動かさず、ページのテキストだけを持ち帰るため、GA4の数字に残りません。その規模は無視できず、日本ではHTMLページへのリクエストの33.5%がボットによるものです(Cloudflare Radar・日本・2026年8月時点の直近7日間)。

この見えない訪問者を名前ごとに記録できるのが、サイトの手前に置くセキュリティ兼高速化サービスのCloudflareです。管理画面の「AI Crawl Control」を開くと、GPTBot・ClaudeBot・ChatGPT-UserといったAIボットの来訪が名前ごとに残ります。無料プランから始められます。

ただし注意点が1つあります。無料プランでは詳細な通信記録の保持期間が短く、当社の確認では約4〜5日より前のデータは取得できませんでした。「入れれば自動で貯まる」ではなく、記録を定期的に取り出して手元に保存する運用(週次エクスポートなど)までをセットにしてください。

どのボットが何をしに来るのか、経路ごとの仕組みと施策の優先順位は、先日の記事に詳しくまとめました。

LLMO対策のやり方|サイトを読む4種類のAIボットと優先順位

LLMO対策のやり方|サイトを読む4種類のAIボットと優先順位

サイトを読みに来るAIボットは、学習クローラー・インデックス作成クローラー・ユーザー指示ボットの3種類。これに新しい窓口のMCPを加えた4経路ごとに、仕組みと効くLLMO対策、優先順位を、自社サイトの実測と実装例で解説します。

株式会社ガーオン

本記事の文脈で大事な点は1つだけです。AIに読まれた記録も、観測と保存を始めた日からの分しか手に入りません。効果検証の分母にあたる「AIがどれだけ自社サイトを読みに来ているか」は、Cloudflareのようなサイト手前の記録にしか残りません。

処方箋③:問い合わせフォームに「会員証番号」を同封する

3つ目だけ、少し実装作業が必要です。そのぶん、問い合わせ獲得を目的とするサイトでは効果が最も大きい処方箋です。

まず、当社の実測から見せます。直近約1年(2025年8月25日〜2026年8月22日)に当社サイトで問い合わせフォームの送信完了に至った約270のブラウザ(GA4は人ではなくブラウザ単位で数えます)のうち、初回接点が「直接来訪(参照元なし)」に分類されるものが82%を占めました。ブログ記事を読んでから問い合わせた形跡がGA4上で確認できるのは6.3%です。

数字だけ見ると、記事は問い合わせにほとんど効いていないように見えます。

当社の解釈は逆です。BtoBの検討は「記事を読む→社内で共有・検討する→数週間後に社名で検索して直接来訪する→問い合わせる」という経路をたどります。この間にブラウザやデバイスが変わると、GA4は同一人物と認識できず、最後の来訪だけが「直接来訪の新規客」として記録されます。実際、当社の記事にはTeamsのチャット経由や、ある大手企業グループのイントラネット経由で読まれた痕跡が、アクセス記録の参照元欄に残っています。閲覧の多くは、社内共有という計測の壁の向こうで起きています。

「効果が見えない」と「効いていない」は、別のことです。

この断絶をつなぎ直す鍵が client_id です。GA4がすべてのブラウザに割り当てている匿名の識別番号で、Cookieに保存されています。会員証番号のようなものだと考えてください。問い合わせフォームの送信時にこの番号を一緒に記録しておくと、処方箋①で貯めたBigQueryの生データを「この問い合わせ主の番号」で検索でき、その人の過去の全行動を復元できます。

当社は2026年8月、この接続を運用に載せました。フォームが送信されると、まずAIが相手企業のサイトや公開情報を自動で調査し、見込み度の評価と返信文のドラフトまで作って社内通知メールに載せます。見込みの高い問い合わせには、続けてシステムがBigQueryを自動照会し、復元した行動履歴を追いかけて同封します。担当者は通知メールを開いた時点で、返信のたたき台と、相手がどの記事やサービスページを見てきたかの両方が手元にある状態から、1通目を書き始められます。

直後に届いたあるBtoB企業からの問い合わせでは、初回接点がGeminiのAI回答経由だったこと、約3週間かけて調査PR関連の記事を読み比べたこと、送信直前にサービスページを再確認したことまで復元できました。返信の一通目は、この履歴を踏まえて書けました。

BtoBの問い合わせ対応は、正確さと同じくらい速さが効きます。経路の調査を人手でやれば数時間かかり、返信は翌日以降にずれ込みます。問い合わせ直後にAIが「企業調査→返信ドラフト→経路分析」まで自動で済ませておけば、1通目から、速く、相手をわかっている返信を出せます。

限界も添えます。client_idはブラウザ単位の番号なので、デバイスが変われば途切れます。すべてがつながる万能の仕組みではなく、つながるケースを取りこぼさないための網です。それでも、2024年末の当社のように「何も言えない」状態とは雲泥の差があります。

3つの処方箋を1枚にまとめる

処方箋何が貯まるか費用手間
① BigQueryエクスポート訪問者の行動の生データ(無期限)無料枠内で収まる規模が多い管理画面で10分
② Cloudflare導入AIボットの来訪記録(名前ごと)無料プランありDNS切り替えが必要
③ フォームにclient_id問い合わせと行動履歴の接続キー実装コストのみフォーム改修(後述の指示文で外注・AI実装可)

事実と解釈を分けて締めくくります。事実として、当社の問い合わせの82%は「直接来訪」に見え、ブログの寄与は6.3%しか観測できません。一方でTeamsやイントラネット経由の閲覧痕跡が残っています。ここからの当社の解釈は、「AI時代のリードは、計測の断絶の向こう側から来る」です。打ち手は、断絶を少しでも埋める記録を今日から貯め始めることです。

明日からできる3つのアクション

  1. GA4の管理画面でBigQueryリンクを設定する。手順が不安なら、生成AIに「GA4のBigQueryエクスポートを設定したい。管理画面のどこを押せばよいか、順に教えて」と聞きながら進めれば、10分程度で終わります。
  2. Cloudflareの無料プランを検討する。自社サイトが導入済みかは、ブラウザでF12キーを押して「Network」タブを開き、ページを再読み込みして、レスポンスヘッダーに cf-ray があるかで確認できます。
  3. フォーム改修を発注・指示する。開発会社や社内エンジニア、あるいはAIコーディング支援に、次のように伝えれば要件は伝わります。「問い合わせフォームの送信時に、GA4のclient_idを取得してフォームデータと一緒にサーバーへ送り、通知メールと保存データに含めてください。取得は gtag('get') のclient_id指定を使うか、_ga Cookieの値の末尾2要素(乱数.タイムスタンプの形式)を抽出してください」

よくある質問

Q. BigQueryは本当に無料で使えますか?

GA4標準プロパティの日次エクスポート自体は無料です。保存先のBigQueryにはストレージ10GB・クエリ処理月1TBの無料枠があり、月間数十万PV規模までのサイトなら枠内に収まるケースが大半です。超えた場合も、この用途では月数百円から数千円の規模に収まるのが一般的です(サイト規模によります)。

Q. もう何年もサイトを運営しています。今から始めても手遅れでは?

過去の記録は戻りませんが、始めなければ1年後も同じ状態です。今日設定すれば、1年後には1年分の検証材料が手元にあります。AI経由の流入はまだ立ち上がり期で、本格化はこれからです。

Q. client_idの記録は個人情報の扱いとして問題ありませんか?

client_id自体は氏名等を含まない匿名の識別番号です。ただし問い合わせフォームでは氏名・連絡先と一緒に保存することになるため、個人情報と結びついたデータとして扱い、プライバシーポリシーに利用目的(問い合わせ対応・サイト改善のための行動履歴の参照など)を明記しておくことをおすすめします。詳細は自社の規程・法務確認に従ってください。

まとめ

たった1行で言えば、AI対策の効果は、記録を今日から貯め始めた会社だけが検証できます。

施策の議論はいくらでもやり直せますが、記録の空白だけは埋め直せません。3つの処方箋はどれも、費用よりも「知っているかどうか」の問題です。

当社では、自社サイトを実験台にした知見をもとに、AI上で自社がどう見えているかを測るスポット診断「AI Pulse」(3万円・税別〜)を提供しています。計測基盤の整備も含めて現状把握から始めたい方は、お気軽にご相談ください

関連記事:

マシンリレーションズとは|LLMO対策の先にあるAI広報論

マシンリレーションズとは|LLMO対策の先にあるAI広報論

「メディアはAIが最初の読者になり、最初のフィルターになる」。AI引用の82-89%がアーンドメディアから来る時代に、何をすればAIに選ばれるのか。米国Parrott氏提唱のマシンリレーションズ(MR)を5層で解説し、新指標「Share of Citation」まで紹介します。

株式会社ガーオン

LLMO対策とは|費用相場と頼める会社3タイプ【中小企業向け】

LLMO対策とは|費用相場と頼める会社3タイプ【中小企業向け】

LLMO対策の費用相場と、SEO会社・ツール型・PR会社発の3タイプの選び方を中小企業向けに解説。契約前に確認すべき5つの計測指標つき。

株式会社ガーオン

参考文献・参考リンク

  • Google アナリティクス ヘルプ「データの保持」。ユーザー単位・イベント単位データの保持期間(標準プロパティは2ヶ月/14ヶ月)と、データ探索のみに影響し集計レポートには影響しないことを公式に説明。 support.google.com/analytics/answer/7667196
  • Google アナリティクス ヘルプ「BigQuery Export」。GA4標準プロパティからの日次エクスポートの仕組みを公式に説明。 support.google.com/analytics/answer/9358801
  • Google Cloud「BigQuery の料金」。無料枠(ストレージ10GB・クエリ処理月1TB)の記載。 https://cloud.google.com/bigquery/pricing
  • Cloudflare Radar(日本)。日本のHTMLリクエストに占めるボット比率33.5%(2026年8月時点の直近7日間)。 https://radar.cloudflare.com/ja-jp/jp
  • Cloudflare「AI Crawl Control」。AIボットを名前ごとに記録・制御する機能の公式ドキュメント。 developers.cloudflare.com/ai-crawl-control/
  • 当社実測データ(2025年8月25日〜2026年8月22日、gaaaon.jpのBigQueryエクスポート)。問い合わせ完了約270ブラウザの流入内訳、ブログ接触率、参照元記録。

よくある質問

Q.BigQueryは本当に無料で使えますか?

GA4標準プロパティの日次エクスポート自体は無料です。保存先のBigQueryにはストレージ10GB・クエリ処理月1TBの無料枠があり、月間数十万PV規模までのサイトなら枠内に収まるケースが大半です。超えた場合も、この用途では月数百円から数千円の規模に収まるのが一般的です。

Q.もう何年もサイトを運営しています。今から始めても手遅れですか?

過去の記録は戻りませんが、始めなければ1年後も同じ状態です。今日設定すれば、1年後には1年分の検証材料が手元にあります。AI経由の流入はまだ立ち上がり期で、本格化はこれからです。

Q.client_idの記録は個人情報の扱いとして問題ありませんか?

client_id自体は氏名等を含まない匿名の識別番号です。ただし問い合わせフォームでは氏名・連絡先と一緒に保存することになるため、個人情報と結びついたデータとして扱い、プライバシーポリシーに利用目的を明記しておくことをおすすめします。詳細は自社の規程・法務確認に従ってください。

SHARE