2026年4-6月期 雑誌印刷部数を分析する
2026年4-6月期の雑誌印刷部数データが公開されましたので、今回も各数値を分析してみます。
※過去データやこれまでの分析記事はこちらから
- 雑誌部数情報まとめ(全四半期一覧)
- 2026年1-3月期 雑誌印刷部数を分析する
- 2025年10-12月期 雑誌印刷部数を分析する
- 2025年7-9月期 雑誌印刷部数を分析する
- 2025年4-6月期 雑誌印刷部数を分析する
今回の記事のまとめ
🎯 週刊少年ジャンプ、ついに100万部割れ:985,000部(前年同期比-6.0%、-62,500部)。印刷証明付部数(2008年〜)として初めて100万部を割りました。前期記事で「次期での大台割れがほぼ確実」と書いた予測が的中。同時に国内の紙の雑誌で「100万部超」がゼロになり、減少実数でもジャンプが全誌ワースト1位でした。
📊 non・no が+79.8%(44,500→80,000部)で増加率トップ。Snow Man・目黒蓮らSTARTO勢の複数表紙商法で、3期連続減から急反転。一方、絶対増加数1位のpumpkin(+37,233部)は創価学会系の組織配本による構造的増加で、市場で勝ち取った伸びとは性質が異なります。
⏰ プラス成長は女性ヤング誌(+11.7%)とビューティ・コスメ誌(+5.2%)にほぼ限定。他の大半のカテゴリーは前年割れで、大手3社(小学館-18.9万部・集英社-13.1万部・講談社-12.1万部)は揃って減少しました。
目次
-
- 1位 non・no(集英社)
- 2位 pumpkin(潮出版社)※絶対数では1位
- 3位 CREA(文藝春秋)
- 4位 テレビマガジン(講談社)
- 5位 Harper's BAZAAR(ハースト婦人画報社)
-
- ワースト1位 Safari(日之出出版)
- ワースト2位 Get Navi(ワン・パブリッシング)
- ワースト3位 最強ジャンプ(集英社)
- ワースト4位 Casa BRUTUS(マガジンハウス)
- ワースト5位 コロコロイチバン!(小学館)
前年比で部数が増えた雑誌

このセクションは増加率(前年同期比、%)順で各誌を解説します。増加率と増加実数(部数)では、上位の顔ぶれが次のように入れ替わります。
| 順位 | 増加率ランキング(本記事の解説順) | 増加実数ランキング |
|---|---|---|
| 1位 | non・no(+79.8%/+35,500部) | pumpkin(+37,233部/+33.1%) |
| 2位 | pumpkin(+33.1%/+37,233部) | non・no(+35,500部/+79.8%) |
| 3位 | CREA(+31.2%/+7,500部) | anan(+14,625部/+12.2%) |
| 4位 | テレビマガジン(+27.3%/+6,000部) | MAQUIA(+13,333部/+16.7%) |
| 5位 | Harper's BAZAAR(+23.2%/+10,044部) | Harper's BAZAAR(+10,044部/+23.2%) |
増加実数の1位はpumpkin(+37,233部)ですが、同誌は組織内配本が配本の主軸の媒体です。印刷部数のデータからは流通経路や購買動機まではわからないものの、誌面に大きな刷新が見当たらないことから、この増加も書店市場での売れ行きより組織要因によるものとみられます(推測の根拠は2位の項)。そのため本記事は、市場での伸びを示す増加率を主軸に各誌を取り上げます。
1位 non・no(集英社): +79.8%増(+35,500部)

印刷部数の推移:
- 2025年4-6月期:44,500部
- 2026年4-6月期:80,000部
- 増加数:+35,500部(増加率79.8%は今期最高)
女性ヤング誌のnon・noが、今期最高の増加率を記録しました。前期(2026年1-3月期)の時点では「3期連続減の構造的下落型」に分類していた誌だけに、この急反転は号ごとの戦略の効き方を鮮明に示しています。背景は、専属モデル・坂道グループの通常版と、STARTO(旧ジャニーズ)勢のアイドル特別版を1号で並走させる複数表紙商法です。
2026年4-6月期の部数に反映される各号(2026年2月〜5月発売):
| 発売日 | 号 | 通常版表紙 | 特別版/増刊 表紙 |
|---|---|---|---|
| 2/20 | 4月号 | 小坂菜緒(日向坂46) | 佐久間大介(Snow Man) |
| 3/19 | 5月号 | 出口夏希 | 道枝駿佑(なにわ男子) |
| 4/20 | 6月号 | 井上和(乃木坂46) | 目黒蓮(Snow Man) |
| 5/20 | 7・8月合併号 | 専属モデル6名 | Mrs. GREEN APPLE |
成長の背景:
- STARTO勢の複数表紙を3号連続投入:4月号=佐久間大介、5月号=道枝駿佑、6月号=目黒蓮(いずれもSnow Man・なにわ男子)と、国内最大級の集客力を持つアイドルの特別版を連投(7・8月合併号はMrs. GREEN APPLE)。特に6月号は「目黒蓮8ページ+ピンナップ」を訴求しました(HMV 6月号増刊、タワーレコード 6月号)。
- 通常版にもアイドル付録を封入:4月号は通常版(小坂菜緒表紙)にも佐久間大介のとじ込みピンナップを付け、坂道ファンとSTARTOファンの双方に訴求。販路限定のフォトカードで収集需要も喚起しました(セブンネット 4月号)。
- 合併号ではアーティスト表紙も投入:7・8月合併号はMrs. GREEN APPLEの特別版を、専属モデル6名の通常版と二本立てで展開(付録ネット 7・8月合併号)。
なお、今期の別カバーはK-POPではなくSTARTO勢が中心です(non・noは2025年にはZEROBASEONEや&TEAMのK-POP増刊も出していましたが、今期の急増を牽引したのは目黒蓮ら国内アイドルの集客力)。前期まで3期連続で減っていた誌が一気に倍近くまで戻った事実は、複数表紙ファンダム経済の破壊力を改めて示しています。
2位 pumpkin(潮出版社): +33.1%増(+37,233部)※絶対数では今期1位

印刷部数の推移:
- 2025年4-6月期:112,367部
- 2026年4-6月期:149,600部
- 増加数:+37,233部(増加率33.1%、絶対増加数は今期1位)
pumpkinは増加率でも実数でも上位ですが、その性質はnon・noやCREAとは根本的に異なります。pumpkinは創価学会系の月刊生活情報誌で、配本の主軸が創価学会系書店・組織内配本にあり、一般書店流通は限定的です。前期記事でも指摘した通り、部数の増減は書店市場での売れ行きよりも、組織の活動節目に連動した構造的な動きとみるのが妥当です。
2023年11月の池田大作SGI会長の逝去以降、三回忌(2025年11月)や2030年の創立100周年へ向けた活動強化の流れが続いており、pumpkinの追悼・継承コンテンツとしての位置付けも強まっています。誌面・価格・発行形態に大きな刷新は確認できず、市販市場で勝ち取った増加と同じロジックで比較することはできません。
「印刷部数データを読むときは、組織配本主体の雑誌と市販主体の雑誌を区別する必要がある」という前期からの視点は、今期も有効です。
3位 CREA(文藝春秋): +31.2%増(+7,500部)

印刷部数の推移:
- 2025年4-6月期:24,000部
- 2026年4-6月期:31,500部
- 増加数:+7,500部(増加率31.2%)
季刊の女性ライフスタイル誌CREAが、アイドルの特別版(CREA Due)を軸にした複数表紙商法で大幅増を記録しました。2026年4-6月期に該当するのは春号(3/6発売)と夏号(6/5発売)です。
| 号 | 発売日 | 通常版特集 | 特別版(CREA Due)表紙 |
|---|---|---|---|
| 2026春号 | 3/6 | 「美容は、楽しい? 美容は、苦しい?」 | SEVENTEEN・DINO(日本の雑誌で単独表紙は初) |
| 2026夏号 | 6/5 | 旅特集「やっぱり、ハワイ!」 | JI BLUE(JO1×INIの合同ユニット4名) |
通常版と特別版でインタビュー内容を変え、両方買いを促す設計です。春号のDINOは日本誌単独表紙が初で記念性が高く、夏号のJI BLUEはJO1とINIの合同ユニット(2026 FIFAワールドカップ盛り上げ企画の公式アンバサダー)という、いずれも大きなファンダムを持つ起用でした(CREA公式 DINO特別版、PR TIMES JI BLUE特別版)。
アイドル特別版という手法自体はCREAの定石(前年もATEEZ等を起用)ですが、今期は起用タレントの集客力が伸びに直結したとみられます。
4位 テレビマガジン(講談社): +27.3%増(+6,000部)

印刷部数の推移:
- 2025年4-6月期:22,000部
- 2026年4-6月期:28,000部
- 増加数:+6,000部(増加率27.3%)
幼児〜児童向けの特撮ヒーロー誌テレビマガジンが、新ヒーローシリーズの立ち上げという追い風を受けて増加しました。2026年前半は、番組の話題が重なった時期でした。
- 新シリーズ『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』が2026年2月15日にテレビ朝日系で放送開始(スーパー戦隊の後枠にあたる新シリーズ)。春号(2/27発売)は立ち上げ直後に「ギャバン大特集+ギャバンなりきり付録」をぶつけました(放送情報、春号付録リリース)。
- 仮面ライダー枠『仮面ライダーゼッツ』が物語終盤・新フォームへ。春・夏号ともに主力コンテンツとして扱われました。
- 夏号(5/29発売)は7月開始の新番組『ウルトラマンテオ』を先出しし、別売DXトイ連動のテレマガ限定付録を用意(夏号リリース)。
いずれの号も特別定価2,200円ながらDXトイ連動のなりきり付録を付けており、新番組の話題と限定付録が購買動機を強めた構図です。
5位 Harper's BAZAAR(ハースト婦人画報社): +23.2%増(+10,044部)

印刷部数の推移:
- 2026年1-3月期:17,000部 ← 前期は過去最低
- 2026年4-6月期:53,250部(前年同期比+23.2%、43,206→53,250部)
前期に過去最低の17,000部まで落ち込んだHarper's BAZAARが、今期は53,250部へ大きく回復しました。牽引したのは、表紙を女優路線から音楽アーティスト路線へ切り替えたことです。
- 6月号(4/20発売)のMrs. GREEN APPLE:メンバー全員の通常版と、大森元貴ソロの特別版(増刊)を同時発売する複数表紙商法。ハースト側は発売前に重版を決定し、「主要書店4チェーンで2週連続ランキング1位を独占」とプレスリリースで公表しました(PR TIMES 6月号、タワーレコード)。
- 7・8月合併号(5/20発売)のMOMOKA(HANA):オーディション番組発で話題のガールズグループHANAのMOMOKAによるソロ初表紙で、若年ファン層を取り込みました(PR TIMES 7・8月合併号)。
同誌はかつてBTS JIMIN号(2024年1・2月合併号、71,667部)で特装版バブルを起こした実績があります。今回はそのJ-POP版という位置づけで、雑誌本体の恒常的な読者増ではなく「強い号による単発の押し上げ」という性格が濃い回復です。前期の過去最低からの反発は、特装版に頼らない基礎部数の弱さと、強い号を当てたときの瞬発力の両面を映しています。
前年比で部数が減った雑誌

今期の減少ワースト誌は、「前期バブルの反動型」と「構造的下落型」が混在しています。単年の減少率だけでなく、長期の推移で性質を見分けるのが読み方の鍵です。
ワースト1位:Safari(日之出出版)| -34.0%減(-23,734部)
印刷部数の推移:
- 2025年4-6月期:69,867部
- 2026年4-6月期:46,133部
- 減少数:-23,734部(減少率34.0%)
男性ミドルエイジ誌のSafariが今期最大の落ち込みを記録しました。ただしこれは単発の号要因ではなく、カテゴリー全体の構造的縮小を色濃く反映しています。前期記事で「男性ミドルエイジ誌は-37.2%、男性40代向けファッション誌というカテゴリー自体が『読者がもう紙で買わない』段階に入った」と分析した通りで、Safariは2026年1-3月期も-33.8%と、2四半期連続でほぼ同率の大幅減です。
Safariの通常号は毎号ハリウッド俳優が表紙で、これは前年も今年も一貫しています。一方で、中身は通常号と同一で表紙だけをアイドルなどに替えた「増刊 Special Edition」を並行発売しており、この版の表紙タレントの集客力の年差が部数の振れ要因になります。ただし、2025年4-6月期・2026年4-6月期それぞれの増刊表紙タレントは今回特定できず、「前期に大型の増刊バブルがあった反動」とまでは断定できません(Safari公式・増刊の仕様、digital-dokusho Safari)。長期では2013年15.9万部・2018年17.8万部のピーク圏から現在4.6万部と約4分の1で、主因は構造的下落とみるのが妥当です。
ワースト2位:Get Navi(ワン・パブリッシング)| -32.3%減(-7,333部)
印刷部数の推移:
- 2025年4-6月期:22,733部
- 2026年4-6月期:15,400部
- 減少数:-7,333部(減少率32.3%)
モノ・トレンド情報誌のGet Naviは、長期にわたる構造的下落の典型です。2019年(85,300部)比では約-82%、直近約2年でも約半減しており、前期バブルの反動という単発要因では説明できません。
下落は2025年10月のフルリニューアル前後で加速しました。増ページ・深掘り特集への刷新と特別定価890円への値上げ、合併号の常態化が同時期に重なっています(PR TIMES リニューアル告知)。ただし、リニューアルが原因で部数が減ったのか、部数減への対応としてリニューアル・合併号化したのか、因果の向きは公式発表からは断定できません。家電・PC・スマホ情報の主戦場がWeb・YouTubeへ完全に移り、紙の優位性が消えた領域である点が背景にあります。
ワースト3位:最強ジャンプ(集英社)| -28.3%減(-28,333部)
印刷部数の推移:
- 2025年4-6月期:100,000部
- 2026年4-6月期:71,667部
- 減少数:-28,333部(減少率28.3%)
小学生向けコミック誌の最強ジャンプも大幅減となりました。ここで重要なのは、発行形態の変更による見かけ上の減少ではないという点です。最強ジャンプは2021年9月号から月刊で、その後ペースは変わっていません。
最強ジャンプは毎年4-6月期が局所的なピーク(春の付録号の季節性)ですが、そのピーク水準自体が年々縮小しています(4-6月期:2024年122k→2025年100k→2026年72k)。付録は前年・当年ともにドラゴンボールやONE PIECEの大型カード・全プレを継続しており(2026年5月号付録 ONE PIECE.com)、「付録バブルの反動」では説明できません。大型付録付きの春号どうしを比べても、月刊のピーク水準そのものが構造的に縮んでいる、というのが実態です。
ワースト4位:Casa BRUTUS(マガジンハウス)| -27.7%減(-28,333部)

印刷部数の推移:
- 2024年4-6月期:82,000部
- 2025年4-6月期:102,333部 ← 櫻井翔号スパイク
- 2026年4-6月期:74,000部(前年同期比-27.7%)
建築・デザイン誌のCasa BRUTUSは、Safariや最強ジャンプとは対照的に、前期バブルの反動型です。2025年4-6月期は、6月号「万博と建築」で櫻井翔(嵐)が表紙に起用され、さらに5月号「安藤忠雄×青春」では佐藤健の増刊Special Editionを併売したことで、芸能人ファンの購買が上乗せされて102,333部まで伸びていました(ガーオン 2025年4-6月期分析、タワーレコード 櫻井翔6月号)。
今期(No.313〜315)は「音のいい部屋。」「話題の絶景宿」「間取りの教科書」と、いずれも純粋なデザイン・ライフスタイル特集に回帰しました(マガジンワールド バックナンバー)。結果、2025年のスパイクを完全に吐き出し、非バブルの2024年基準(82,000部)も約1割下回っています。急落ではなく、芸能人表紙による一時的ブーストの剥落に、緩やかな構造的下落(2年で約-10%)が重なった動きです。
ワースト5位:コロコロイチバン!(小学館)| -23.1%減(-4,500部)
印刷部数の推移:
- 2025年4-6月期:19,500部
- 2026年4-6月期:15,000部
- 減少数:-4,500部(減少率23.1%)
小学校低学年向けのコロコロイチバン!も減少しました。長期では明確な構造的下落(2020年約5万部→2026年4-6月期1.5万部、約-70%)ですが、四半期ごとのブレが大きいのが特徴です。隔月刊で各期の号数が少なく、1号の付録や掲載IPの強弱で平均が大きく振れます。実際、2026年1-3月期はむしろ前年同期比+13.2%でした。前年(2025年4-6月期)に特段のバブルはなく、今期は号の相対的な弱さが重なった振れとみるのが妥当です。少子化と可処分時間の競合(YouTube・Switch・スマホゲーム)が、子供誌カテゴリー全体の底流にあります。
カテゴリー別動向分析

成長カテゴリー(前年同期比プラスは少数)
女性ヤング誌:+11.7%(+24,981部)
今期最も明確に伸びたカテゴリー。non・no(+79.8%)の急反転が牽引し、JUNON(+14.1%)なども上振れしました。STARTO・坂道グループの複数表紙商法が、若年女性誌の部数を押し上げる構図が鮮明です。
ビューティ・コスメ誌:+5.2%(+12,633部・前年値のある誌の比較)
前期に続き安定して伸びるカテゴリー。MAQUIA(+16.7%)が牽引しました。なお今期首位のVOCEは前年の元データに収録がなく前年比を計算できないため、この増減は前年値のある誌(美的・MAQUIA・美ST)の合計で算出しています。韓国コスメ現品付録と男性アイドル増刊版という戦略が、引き続き有効に機能しています。
男性ヤング誌:+3.3%(+7,850部)、食・グルメ情報誌:+1.8%(+1,000部) もわずかにプラスでした。
衰退カテゴリー(特に深刻なもの)
スポーツ誌:-19.3%(-25,264部)、女性ティーンズ誌:-17.1%(-32,150部)
アイドル・スポーツ情報の独占価値がSNSへ流出し続けています。
モノ・トレンド情報誌:-13.8%(-14,315部)
Get Naviの構造的下落が象徴的。家電・ガジェット情報の紙需要が消えた領域です。
男性ヤングアダルト誌:-13.1%(-69,508部)、少女向けコミック誌:-12.6%(-49,186部)
少女コミック誌は、少年コミック誌より一足先に縮小局面に入っています。
週刊誌:-9.2%(-166,026部)、子供誌:-9.0%(-52,366部)
週刊誌は減少実数がカテゴリー最大。週刊文春(-42,917部)、週刊現代(-35,167部)など総合週刊誌が軒並み減りました。
出版社別動向

部数が増えた出版社(プラスは少数)
1位 潮出版社:+18.7%増(+33,833部) — pumpkinの組織配本強化が牽引。 2位 オレンジページ:+2.5%増(+3,558部)。
部数が減った大手出版社 TOP 5
1位 小学館:-8.7%減(-189,355部) — 女性セブン、CanCam、コロコロ系などが減少。一方、美容誌の美的は10万部台を維持。 2位 集英社:-4.9%減(-131,424部) — 週刊少年ジャンプ(-62,500部)、最強ジャンプ(-28,333部)が主因。一方でnon・no(+35,500部)、MAQUIA(+13,333部)が好調で、減少率は大手の中では最も小さい。 3位 講談社:-7.6%減(-120,807部) — 週刊現代・週刊誌系の減少が継続。 4位 文藝春秋:-8.2%減(-65,651部) — 週刊文春(-42,917部)が中心。CREAは増加。 5位 NHK出版:-10.2%減(-51,300部)。
集英社・小学館・講談社の大手3社で計-44.2万部の減少。業界が大手依存の構造のまま縮小局面にあることが、出版社規模でも明確です。
美容誌動向


美容誌ランキング(2026年4-6月期)
| 順位 | 雑誌名 | 出版社 | 部数 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | VOCE | 講談社 | 112,167部 | — |
| 2位 | 美的 | 小学館 | 108,000部 | -1.5% |
| 3位 | MAQUIA | 集英社 | 93,333部 | +16.7% |
| 4位 | 美ST | 光文社 | 55,500部 | +1.8% |
今期の元データではVOCE(講談社)が112,167部で首位に立ちました(前期記事の元データでは収録が確認できなかった誌で、前年比は算出していません)。美的は前年比-1.5%ながら10万部台を維持し、MAQUIAは+16.7%と大きく伸びました。
ビューティ・コスメ誌は前年比較が可能な誌の合計で+5.2%と、業界の中で数少ない成長領域です。韓国コスメの現品付録と、男性アイドルを起用した増刊版を組み合わせ、1号で複数のターゲット層を取り込むモデルが定着しています。雑誌不況の中で美容誌だけが市場拡大を続けている事実は、今後の雑誌ビジネスを考える上で重要なヒントです。
週刊少年ジャンプの動向

ついに100万部割れ
現状:
- 最新部数(2026年4-6月期):985,000部
- 前年同期比:-62,500部(-6.0%)
- 前期(2026年1-3月期):1,004,167部 → 今期はここから-19,167部
前期記事で「次期Q2での大台割れがほぼ確実」と書いた予測が、その通りになりました。印刷証明付部数(日本雑誌協会が2008年から公表)として、週刊少年ジャンプが100万部を割ったのはこれが初めてです。
直近の推移
- 2024年07月:1,098,231部
- 2024年10月:1,075,000部
- 2025年01月:1,078,333部
- 2025年04月:1,047,500部
- 2025年07月:1,026,667部
- 2025年10月:1,022,500部
- 2026年01月:1,004,167部
- 2026年04月:985,000部
100万部割れの歴史的意味
週刊少年ジャンプの最盛期は、1994年12月発売の1995年新年3・4合併号で記録した653万部。『DRAGON BALL』『SLAM DUNK』『幽☆遊☆白書』全盛期の、漫画雑誌史上最高の数字です。2017年に200万部を割り込み、そこから約9年でさらに半減しました(読売新聞 2026-08-06、オリコン 2026-08-06)。
そして注目すべきは、ジャンプ以外に100万部超の漫画雑誌は1誌も存在しないという事実です。週刊少年マガジンが2016年7-9月期に99万5,017部で100万部割れして以降、少年・少女・男性・女性向けの全カテゴリーを通じて、印刷証明付部数で100万部を超えるのは週刊少年ジャンプ1誌だけでした(ITmedia 2016-11-02)。そのジャンプ自身が今期100万部を割ったことで、国内の紙の雑誌から「100万部超」がゼロになりました(日本経済新聞 2026-08-06)。参考までに、同じ2026年4-6月期の週刊少年マガジンは281,000部、月刊コロコロコミックは213,333部、週刊少年サンデーは約12万部です。
報道各社が挙げた背景は、①電子コミックサービスの普及(「1誌まるごと」ではなく「読みたい作品だけ」を選ぶ消費への移行)、②2025年に大手取次がコンビニ配送から撤退し、店頭での入手性が下がったこと、の2点です(日経)。紙雑誌の推定販売金額は、1997年のピーク(1兆5,644億円)の4分の1以下まで縮んでいます。
2026年前半の主な動き
- 新連載3連弾を年2回のペースで投入:冬(2026年1月)は『UNDER DOCTOR』『回撃のキナト』『エイリアンヘッドバット』、夏(2026年6月)は『アニマルシグナル』『HAL FORMULA』『カノンマスター』(映画.com、コミロック)。
- 『アオのハコ』が2026年33号(7/13発売)で全250話・26巻をもって完結。累計1,000万部を突破し、テレビアニメSeason2が2026年10月に放送予定(Wikipedia アオのハコ)。松井優征『逃げ上手の若君』も2026年12号で全238話完結。
- 『ONE PIECE』は最終章「エルバフ編」を継続。TVアニメのエルバフ編が2026年4月5日に「原作1話をアニメ1話で描く」新方式で放送開始しました(ONE PIECE.com)。
- アニメ化ラッシュ:『SAKAMOTO DAYS』は第2期が2027年1月放送決定。『あかね噺』も4月からアニメ放送開始(累計300万部突破)(SAKAMOTO DAYS公式、ファミ通)。
紙とデジタルの二層構造
紙の本誌が縮小する一方、集英社のマンガ配信プラットフォーム「少年ジャンプ+」は伸び続けています。少年ジャンプ+は週刊少年ジャンプの電子版ではなく、オリジナル連載を多数抱える別サービスで、以下の数字も本誌ではなくプラットフォーム全体のものです。2024年の10周年時点で累計2,900万ダウンロード・月間ユーザー1,200万以上、2025年には累計3,000万ダウンロードを突破しました(集英社 少年ジャンプ+10周年、JBpress 2025-10-10)。紙の読者がそのまま移行したことを示す数字ではありませんが、集英社は紙+デジタル合計でのマンガ事業最大化を目指しており、紙の本誌の100万部割れは、ビジネスとしての敗北というより、メディア構造の不可逆な転換を示すマイルストーンです。報道各社も「部数減=漫画離れではない」という整理で一致しており、ONE PIECEなどのIP価値はむしろ国際的に拡大しています。
ハルメクの動向

印刷部数の推移:
- 2025年4-6月期:481,000部
- 2026年4-6月期:459,333部
- 前年同期比:-21,667部(-4.5%)
50代以上の女性をターゲットとするシニア誌のトップランナー、ハルメク。長らく47万部前後で底堅く推移してきましたが、今期は459,333部と、この2年で初めて46万部を割り込みました。急減ではないものの、これまでのプラトー(高原状態)から一段下がった水準です。
直近の推移を見ると、2024年4月の489,333部をピークに、481,000→468,333→471,333→469,000→459,333と、緩やかな右肩下がりが続いています。定期購読モデルの強さが部数の急減を抑えている点は変わりませんが、CPO(1読者あたり獲得単価)の上昇という課題を抱えながら、シニア誌市場のリーダーも緩やかな調整局面に入りつつあります。
総括
2026年4-6月期の雑誌印刷部数動向から見えてきた重要なポイント:
1. 週刊少年ジャンプが100万部を割り、「100万部超え漫画雑誌」が日本から消えた
985,000部。印刷証明付部数として初の100万部割れです。前期に「次期でほぼ確実」と書いた予測が的中し、戦後の出版文化を象徴する大台をついに割り込みました。週刊少年マガジンが2016年に割れて以降、唯一100万部を超えていたジャンプが陥落したことで、国内の紙雑誌から「100万部超」がゼロになりました。単なる1誌の動向ではなく、時代の節目です。ただし別サービスの少年ジャンプ+が累計3,000万DLに達するなど、マンガのIP価値そのものはむしろ拡大しており、読者の入り口が紙からデジタルへ移る構造転換を映す動きです。
2. non・noの+79.8%が示す「複数表紙ファンダム経済」の破壊力
前期まで3期連続減だったnon・noが、STARTO(Snow Man目黒蓮ら)の特別版を3号連続投入する複数表紙商法で、一気に倍近くまで戻しました。CREA(SEVENTEEN・JO1×INI)、Harper's BAZAAR(Mrs. GREEN APPLE)も同じ構造で伸びており、「通常版+アイドル特別版で複数買いを促す」モデルが、女性誌・ファッション誌の生き残り戦略として完全に定着しています。雑誌を「ファングッズ」として再定義する流れが加速しています。
3. 増加は女性ヤング誌と美容誌にほぼ限定、大手3社は総崩れ
プラス成長は女性ヤング誌(+11.7%)とビューティ・コスメ誌(+5.2%)にほぼ集中し、他の大半のカテゴリーは前年割れ。集英社・小学館・講談社の大手3社で計-44.2万部が減りました。ファンダム経済を取り込めた誌だけが伸び、それ以外は構造的縮小に沈む、という二極化が一段と進んでいます。
4. 「前期バブル反動」と「構造的下落」の見分けが今期も読み方の鍵
減少ワースト誌は2類型に分かれます。Casa BRUTUS(-27.7%)は2025年の櫻井翔号スパイクの反動で、非バブル年の基準に戻る動き。一方、Safari(-34.0%)は男性ミドルエイジ誌カテゴリー全体(前期2026年1-3月期に-37.2%)の構造的崩壊を反映し、Get Navi(-32.3%)は2019年比-82%の長期下落型です。最強ジャンプ(-28.3%)も、付録バブルの反動ではなく、春の付録号ピーク水準そのものが年々縮んでいる構造縮小型。単年の減少率だけでなく、長期の推移で性質を見分けることが欠かせません。
5. pumpkinの+33%増は「市販雑誌」のロジックでは説明できない
潮出版社のpumpkinが+37,233部(絶対数1位)で急増しましたが、誌面・価格・形態は不変。創価学会の組織配本という配本構造に根ざした増加で、Numero TOKYOやnon・noのような市場勝利型とは性質が根本的に異なります。印刷部数データを読むときは、「組織配本主体の雑誌」と「市販主体の雑誌」を区別する必要がある、という視点は今期も有効です。
以上、2026年4-6月期雑誌印刷部数の分析レポートでした。
この記事は、一般社団法人日本雑誌協会が公表する印刷部数データを基に、独自の分析を加えたものです。
※各誌の増減の背景は、確認できた号構成・表紙・付録・発売日などの事実に基づく分析であり、出版社が部数増減の理由を公式に明言した一次情報とは限りません。掲載した数値は日本雑誌協会「印刷証明付部数」に基づきます。





